会社員ライブラリー

しがないサラリーマンの書評やエンタメ鑑賞の記録

歴史

【書評】太平洋戦争の「ポイント・オブ・ノー・リターン」――『ミッドウェー海戦』

東京から東に4100キロ。北太平洋中部に位置するミッドウェー島は、1年中気温が暖かく湿度が高い海洋性気候の島である。毎年約200万もの海鳥や渡り鳥が巣作りのために同島を訪れ、特に11~7月にかけてはアホウドリの一種であるコアホウドリとクロア…

【書評】南の孤島「硫黄島」での決戦録――『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』

東京都心から南へ1200キロ、小笠原諸島の南端に位置するのが硫黄島である。島の面積はわずか22キロ平方メートルで世田谷区の半分にも満たない。天然記念物の小笠原諸島産陸貝やオガサワラオオコウモリ、アカガシラカラスバトが生息するほか、植物ではガ…

【書評】細菌兵器に手を染めた陸軍軍医の横顔――『731 石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く』

1946(昭和21)年5月3日に開廷した極東国際軍事裁判、通称「東京裁判」では戦争犯罪を行ったとされる軍人、政治家28人がA級戦犯として起訴された。太平洋戦争開戦時の首相・東条英機や陸軍の重鎮である荒木貞夫、国際連盟脱退を表明した松岡洋右など、い…

【書評】1945年8月15日の攻防――『日本のいちばん長い日』

8月15日は言わずと知れた終戦記念日である。混迷を極める戦時体制にピリオドを打った節目の一日で、毎年この日が近づくとメディアは「凄惨な悲劇を風化させてはならない」と言わんばかりに、こぞって戦争特集を組む。 とはいえ、その取り上げ方は「戦争を…

【書評】日本はなぜ満蒙国境で敗走したのか――『ノモンハンの夏』

ユーラシア大陸東部、中国とモンゴルの国境近くに、ノモンハンがある。見渡す限りの草原に、放牧された牛や馬が草を食む――まさに"牧歌的"という言葉を体現したかのようなこの土地で、惨憺たる戦闘が繰り広げられたのは今から82年も前のことだ。 ノモンハン…