会社員ライブラリー

しがないサラリーマンの書評やエンタメ鑑賞の記録

人文

【書評】世界は「編集」でできている――『知の編集工学』

動画編集、画像編集、雑誌編集……。「編集」という言葉には、どこか職人気質なイメージが纏わりついていると感じる。実際に『広辞苑』で「編集」の頁を引いてみると「資料をある方針・目的のもとに集め、書物・雑誌・新聞などの形に整えること」とある。つま…

【書評】「ポスト産業資本主義」時代における会社の在り方――『会社はこれからどうなるのか』

重厚長大型の産業資本主義は耐用年数をとうに過ぎ、日本社会は差異を意識的につくり出すことで利潤を生みだしていく時代――ポスト産業資本主義の時代にシフトしている。ポスト産業資本主義の社会では、他社製品/サービスとの間にはいかなる差異があるのかと…

【書評】人間の根源的な「問い」を思考する――『人生を変える読書 人類三千年の叡智を力に変える』

著者の堀内勉氏は東京大学卒業後、日本興業銀行、ゴールドマンサックス証券などを経て、森ビルに入社。森ビル・インベストメントマネジメント社長、森ビル取締役専務執行役員CFOなどを歴任し、現在は多摩大学大学院経営情報研究科教授、多摩大学社会的投資研…

【書評】気鋭の哲学者が誘う「言語をめぐる旅」――『中道態の世界 意志と責任の考古学』

中動態。おそらく多くの人にとって耳なじみのない言葉だろう。端的に言えば「能動態」でも「受動態」でもない態のことだ。 例えば、「謝る」は能動・受動のどちらに当てはまるだろうか。謝るという行動は、言うまでもなく謝罪の気持ちを自らの動作で表したも…

【書評】優れた姿も、不甲斐ない姿も、すべて同じ「私」――『私とは何か 「個人」から「分人」へ』

間もなく新入社員が入ってくる。社内報によれば、自社には100人超が入社するらしい。私が勤める部署への配属があるかは定かではない(おそらくないだろう……)が、まずはフレッシュなニューフェースの登場を心から祝福したいと思う。 さて、かれらが社会人…

【書評】どうにも対処しようのない事態に耐える力――『ネガティブ・ケイパビリティ』

書店に行くと、「課題設定」「問題解決」系のフレームワーク本が多く平積みされている姿が目に飛び込んでくる。「先行き不透明」「目まぐるしく変化する」などと形容されがちな世相とあって、これらの書籍にニーズがあるのは自明だろう。 1カ月先の状況さえ…