会社員ライブラリー

しがないサラリーマンの書評やエンタメ鑑賞の記録

2024-03-07から1日間の記事一覧

【書評】青春小説の金字塔的作品――『ライ麦畑でつかまえて』

J・D・サリンジャーは1919年、ニューヨーク州マンハッタンで生まれた。貿易で名をあげたユダヤ人の父と、結婚を機にユダヤ教に改宗した母の間に生まれた彼は、コロンビア大学で文学を学びながら創作活動を開始。早々から文才が開花し、彼の書いた短編…

【書評】SFアニメの金字塔を読み解く――『攻殻機動隊論』

折に触れて見直すアニメーション作品がいくつかある。その一つが『攻殻機動隊』だ。内務省にある首相直属の対テロ・防諜機関である公安9課。その現場指揮官で全身義体の草薙素子を筆頭に、レンジャー出身で格闘戦を得意とするバトー、元刑事で生身の体を持…

【書評】一連のオウム真理教事件を再構成――『沙林 偽りの王国』

1995年3月20日朝の通勤時間帯、営団地下鉄(現東京メトロ)日比谷線、丸ノ内線、千代田線の車両内にて猛毒のサリンが撒かれた。地下鉄サリン事件である。オウム真理教教祖・麻原彰晃の指示を受けた幹部構成員らが各線の車内でサリンを散布。乗客ら約3…

【映画評】ポンコツアンドロイドが示唆する「人間とAIの共生」――『アイの歌声を聴かせて』

気鋭のアニメーション監督・吉浦康裕氏は自身の作品を通して「人間とAIの関係性」に一石を投じている。 例えば、同氏が原作・監督・脚本を務めた『イヴの時間』(2008年)は人間と人型ロボット(アンドロイド)の"共生"を模索した意欲作だ。本作は両者…

【書評】“二刀流”の著者が繰り広げる「医療ミステリー」――『白い夏の墓標』

細菌学者の佐伯教授は、パリで開かれた肝炎ウイルス国際会議での研究発表後、米国陸軍微生物研究所の博士を名乗る老紳士から、ある研究者の死の真相を打ち明けられる。その研究者とは、佐伯が若手だったころに苦楽をともにした、同じ細菌学者の黒田武彦だっ…

【書評】組織をうまく回す"たった一つのさえたやり方"――『とにかく仕組み化』

著者の主張はとにかくシンプルだ。「組織が抱える課題の解決には『仕組み化』が役立つ――」。本書では、経営者やリーダーが「仕組み化」を進めるうえでのポイントを解説している。 本書の特徴、それは凡百のビジネスフレームワーク本と一線を画しているところ…